2007年11月06日

中絶

腕に点滴が打たれた。



医者
「心臓だけの状態が、一番中絶の失敗もありません。


手や足が見えたら…かすみさん、苦しみは増しますよ。」



腕に落ちてる点滴を眺めている。



太ももをツンツン、つつかれた。



医者
「感覚はありますか?」



かすみ
「はい…」



医者
「もうすぐ眠くなりますよ…もうすぐ」



かすみの目が閉じた。



一時間後。



医者
「無事に終わりましたよ」


三好が銀のバケツを部屋から運び出していた。


あの中に心臓が…

あの中に…


…命が!!


凍てつく気持ちがした。
ひとつの命を殺した。


ひとつの命を殺した…


生みたくない命でも…


ひとつの命を殺した現実は真実。


かすみ
「あたしは人を殺したんだ!」


跳ね起きるとかつての自分の部屋。
ありさがうたた寝から飛び起きた。


ありさ
「かすみ、落ち着くのよ!
あなたは誰も殺してない」


かすみ
「あの心臓は?
…新しぃ命でしょ?
憎くて、汚いけど、ひとつの命でしょ!」


ありさ
「かすみ!
世の中には必要なことと、不必要なことがある。かすみの中絶は必要だったのよ!

圭祐と育てられずに、乳児院に入れる?

父親が犯罪者…そんな試練を子供に与えられる?

あなたと圭祐が育てても自然に幸せにしてあげられる??

かすみは知らない…

母親がいないだけで、どれだけの苦しみを味わうか…。

かすみ…。
あなたはひとつの未熟な命を殺したけど」



ありさは窓辺に立った。



ありさ
「私はお母様を殺して、上田一家の殺害を依頼した…」


かすみ
「ありさ…」


ありさ
「わかったのよ、こうちゃんを育てて。

私にはかすみが大切。
そのかすみが傷ついたなら、私が守るのよ。

これから、こうちゃんと2人で生きていく。

こうちゃんには私のように簡単に人を殺めるような生き方はさせられない。
幸祐の母親として生きていく…
でも幼い幸祐が傷つくのなら、私が傷ついて守り抜く!」



かすみはベッドに横たわって、笑った。


かすみ
「ありさの説教、ママみたい(笑)



変わったね、ありさ」


ありさ
「え?」


かすみ
「安心して幸祐の親になってもらえる」


かすみは再び、眠りこんだ。


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