2007年10月27日

回想1

三好
「奥様、もう少しでお医者様が参ります、しっかりなさって!」



ありさの母
「苦しい…赤ちゃんは」


三好
「もう頭が出ています。奥様、もう一息。」


ありさの母
「ハッハッ…もぅダメ…」



三好
「奥様、お嬢様ですよ…奥様!

奥様ぁー!!」



真っ青の顔。



三好の叫び声に、医者が走って入ってきた。



産声をあげる女の子。



その横で意識を失っているありさの母の異変に、医者は措置を施したが、すでに意識は戻らず脳死に近い状態になっていた。



この屋敷に奥様が眠る部屋がある…ありさも近づけなかった部屋。
そこにありさの母はたくさんの器具、装置につながれている。



ありさには母親は具合が悪く、遠い病院の無菌室に入れられていると、三好はずっと伝えてきた。



三好
「姫も奥様みたいなことに…」



今でも物心ついたありさが「お母様に会いたい」と毎日泣きじゃくった姿を思い出す。



参観会も自分が行き、そのたびにありさはいじめられた。


ありさ
「ありさには母親がいないんでしょ?
三好、もう来なくていいよ」



6歳のありさ。
ありさの父親が経済誌のインタビューで母親が入院していると話し、さほどのいじめはなかったが、遠足は絶対に行かなかった。



ありさ
「私だけ、お母様のお弁当じゃないから」



そうつぶやいて本に向かう。
いつしか遠足の連絡通知すら、持って帰らなくなっていた。



眠るかすみに、ありさの母を思う。



この18年間、隠すことでありさは幸せだったのか…


この記事へのトラックバックURL
http://rosy.gifulog.com/t25791